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新宿・ニコンプラザ東京で高重乃輔さん写真展「最後の旅」

鹿児島に向かう高速船(写真提供=高重乃輔)

鹿児島に向かう高速船(写真提供=高重乃輔)

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 写真家・高重乃輔さんの写真展「最後の旅」が2月28日、新宿エルタワー28階にある「ニコンプラザ東京」(新宿区西新宿1、TEL 0570-02-8080)内のニコンサロンで始まった。

病院の椅子で眠る祖父(写真提供=高重乃輔)

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 高重さんは1987(昭和62)年埼玉県生まれ。2008(平成20)年にアフリカ諸国を旅したことから写真を始めた。早稲田大学卒業後、2012(平成24)年 中日新聞社へ入社。「自分の意見を自分の言葉では言いづらい」と感じながら記者をしていたが、「自分はこう思う、という作品を作りたい。だからフリーになろう」と2016(平成28)年に退社。撮影スタジオ勤務や撮影アシスタントを経て、2019年にフリーランスの写真家として独立した。現在、愛知県名古屋市在住。

 「過去に起きた出来事の意味を一度だけでなく、何度も何度も考え続ける材料を提供してくれるところが写真の魅力」と話す高重さん。

 同展では鹿児島の離島で暮らしていた祖父母が叔母の住む福岡に引っ越すまでの2年間を記録し、モノクロ写真54点に絞り込んで展示する。「根っからの島の人で、94歳の祖父は戦前から、満州生まれの88歳の祖母は戦後から、島でずっと暮らしてきた。島での生活が2人だけでは難しくなってきたとはいえ、人生の最期になってなぜ都市に移り住まなければいけないのか」。高重さんが写真を通して見つめた身内の晩年を伝える。

 「身の回りで起きたことを淡々と撮った」という高重さん。苦労したのは撮りためた写真を作品化することだったという。「部屋の壁に貼った写真を眺めて、並びを変えたり、外したり、加えたり、といったことを一日中、1カ月間続けた。プリントした写真は何を意味するのか、どんな意味を持っているのか、写真と向き合い、自分と向き合い、言葉を紡ぐ作業は大変だったが、楽しく、とても有意義な時間だった」と振り返る。

 高重さんは「作品には自然との共生、年寄りの人権、生と死、家族、介護、といった要素が含まれている。人が生きるとはどういうことなのか、個人と家族、人間と自然の関係はどうあるべきなのかを考えるきっかけになれば」と観覧を呼びかける。

 10日にはトークイベント「写真、死と希望」」を行う。高重さんのほか、2019年に同サロンで写真展「風と土と」を開いた写真家・加川京さんと、2022年に東京都写真美術館で「メメント・モリと写真 死は何を照らし出すのか」展を企画担当した学芸員の浜崎加織さんが登壇。写真と死、写真と希望をキーワードに話を展開するという。開催時間は15時~6時。参加無料。定員は20人(先着順)。

 開館時間は10時30分~18時30分(最終日は15時まで)。日曜定休。観覧無料。会場では同名の写真集も販売する。今月13日まで。

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