新宿・歌舞伎町で働くホストたちが詠んだ短歌をまとめた「ホスト万葉集」の第2弾となる「ホスト万葉集 巻の二」が出版されて1カ月がたった。歌人の俵万智さん、小佐野彈さん、野口あやこさんが選歌・構成を手掛ける。
手塚マキさんの新刊「新宿・歌舞伎町 人はなぜ<夜の街>を求めるのか」(幻冬舎) 860円(税別)
同エリアで飲食店などを数多く手掛ける「Smappa!Group」の会長を務める手塚マキさんと、所属する80人がコロナ禍で詠んだ全591首から、375首を載せる。きっかけは2018(平成30)年、手塚さんがオープンした「歌舞伎町ブックセンター」(現在は移転準備中)で行った小佐野さんの歌集『メタリック』のリリースイベントだった。
広報担当者は「イベントの際、『ホストたちの短歌詠み』と題し5人のホストがその場で短歌を作る企画を行った。ホストと短歌の相性は未知数だったが、小佐野さんと、イベントに参加していた野口さんが絶賛。小佐野さんを通じて、俵さんも非常に興味をもってくださり、その後月に1度『ホスト歌会』を始めるようになった」と振り返る。
昨年7月に第1弾を刊行した。「『夜の街』と歌舞伎町がコロナ感染の震源地として名指しされた頃。出版時期が重なったことは偶然だったが、短歌を通して個としてのオピニオンを発信することができたのでは」と担当者。
巻末には俵さんら3人と手塚さんによる「コロナ禍どまんなかだからこそ、Zoom歌会を続けた」と題した座談会の模様も紹介する。「オンラインで続けている歌会にはお客さまや従業員の家族からも短歌が寄せられるようになり、『相聞』と呼ばれる恋人同士で詠み交わす歌のように、31文字で繰り広げられるコミュニケーションがリアルに行われるようになった。短歌に込めたホストならではの言葉も見てもらえたら」と呼び掛ける。
手塚さんは昨年11月26日、「新宿・歌舞伎町 人はなぜ<夜の街>を求めるのか」(幻冬舎新書)も刊行した。23年間、ホスト、そして現在は経営者として歌舞伎町で生きてきた手塚さんが見てきた街の歴史や多様性、街から教わったことなどをつづる。巻頭には、コロナ禍に行政とホストクラブをつなぎ、感染を食い止める体制をいち早く築こうと奮闘したやりとりなども掲載する。