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新宿で写真展「函館港湾・水道工事の記録」-明治時代の北海道開拓を記録

「田本研造-函館港湾・水道工事の記録」展

「田本研造-函館港湾・水道工事の記録」展

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 フォトグラファーズギャラリー(新宿区新宿2、TEL 03-5368-2631)で4月3日から、「田本研造-函館港湾・水道工事の記録」展がアンコール開催される。

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 田本研造は1831年三重県熊野生まれ。長崎で医学・化学を学んだ後、函館で壊疽(えそ)により右足を切断。手術を担当したロシア人医師から写真術を学び、写真師になったと伝えられている。1871(明治4)年に開拓使から札幌近郊の撮影を依頼され、約10年間にわたり北海道開拓の様子を記録。その後も函館を中心に膨大な写真を撮影している。

 土木学会付属土木図書館(新宿区四谷)の協力で開催された写真展(2009年5月)のアンコール展示となる同展。コンクリートブロックを用いた防波堤の建造など、1897(明治30)年当時の最新技術を記録した函館港湾工事の写真、現在でも函館市の一部の水道として使われている配水池などを竣工時に撮影した函館水道工事の写真を展示する。

 「前回の写真展に来場した人たちは、19世紀後期に制作された鶏卵紙のクオリティーの高さに驚いていた。土木図書館所蔵の写真は明治29(1896)年から翌年にかけて撮影されたもので、現存する田本の写真の中でも非常に保存状態が良く、当時の写真印画にしか見ることのできない鶏卵紙特有の美しい茶褐色のトーンを保持している」と同ギャラリーの中村早さん。

 会場では、同展開催のきっかけとなった写真集「photographers’ gallery press no. 8」(B5判、400ページ、3,990円)を販売。約490点の写真を掲載している。

 中村さんは「田本の写真群は、精緻な描写はもちろん、港湾や上水道といった国土整備のために土地が切り開かれていく記録としても見逃すことができない。本展は19世紀中ごろから日本が近代化の過程で押し進めた北海道開拓の記録を、新たな視点から見返すことのできる貴重な機会。なかなか目にすることのできない田本の写真を、この機会にぜひ見ていただければ」と来場を呼び掛ける。

 開催時間は12時~20時。月曜休廊。入場無料。5月6日まで

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