熱海や伊東に和菓子店を展開する「石舟庵(せきしゅうあん)」(静岡県伊東市)が9月15日から、伊勢丹新宿店(新宿区新宿3)に催事出店する。伊勢丹新宿店への出店は初めて。
都市型養蜂プロジェクト「MIEL ISETAN SHINJUKU」とコラボし、伊勢丹新宿店の屋上で採取された「MIELはちみつ」を使った和菓子を販売する。同社の高木康行社長は「伊勢丹から、伊豆の素材を大切にして和菓子を作るのと同じスタンスで、新宿の自然素材を使って和菓子を作ってほしいとオーダーを受けた。通常、和菓子において蜂蜜は引き立て役。その蜂蜜を主役にして、どう蜂蜜の個性を引き出すか試行錯誤した」と話す。
高木さんは「蜂蜜は糖度が高いので一般的な和菓子に使うと甘すぎてしまう。そのため白砂糖の代わりに甘こうじを採用することで、甘さを控えて自然な味わいになる。伝統と革新性を兼ね備えた、今まで世の中に無かったような和菓子に仕上がった」と太鼓判を押す。商品開発から3カ月ほどかけて完成にこぎ着けた。
販売するのは、甘こうじのこしあんで蜂蜜ジュレを包んだ「甘糀(こうじ)と蜂蜜ジュレ大福」(324円)と、白砂糖を使わず蜂蜜の甘さを生かした「米粉と蜂蜜のシフォン」(1,728円)。「甘糀と蜂蜜ジュレ大福」は1日80点、「米粉と蜂蜜のシフォン」は1日10点限定。「使う蜂蜜によって異なる味わいも比較して楽しんでほしい」と、伊豆で採取された蜂蜜を使った商品も販売する。
同社は昨年から、日本の伝統的な発酵文化と和菓子の融合を掲げて、自家製の甘糀を使った和菓子の開発を積極的に手掛ける。これまでも甘こうじを使った「糀上生菓子」や「糀と蜂蜜 紅ほっぺ」などを販売している。高木さんは「当店は伊豆の自然や発酵という食文化を生かした和菓子作りに取り組んできた。地方でなくても、新宿という都会でも花が咲き、自然の味を楽しめることを和菓子を通して感じてもらえれば」と期待を込める。「今回のプロジェクトによって、蜂蜜の大きな可能性を感じた。今後、地域や花によってさまざまな風味になる蜂蜜を使って、花の味を楽しめるような和菓子を作っていきたい」とも。
現在の営業時間は10時~20時。9月21日まで。