新宿・歌舞伎町で展開する「新宿アートウォールプロジェクト」に4月5日、写真家・森山大道さんの写真作品群が登場した。
開発好明さんのアートウオール作品「Evangelion Styrofoam」 ©Khara
TSTエンタテイメント(新宿区)、ソニー・ミュージックソリューションズ(港区)が取り組む同プロジェクトは、「歌舞伎町一丁目地区開発計画」の一環として進められている旧「新宿ミラノ座」(新宿区歌舞伎町1)の跡地工事現場の仮囲いを活用したもので、全長280メートルに及ぶ。
仮囲いにはこれまで、2019年12月に東側、2020年6月に北側と段階的に開発好明さんによる作品「Evangelion Styrofoam」を展示してきた。全長約77メートルに及ぶ壁面に沿って歩きながら鑑賞することを意識し、発泡スチロールなどの梱包(こんぽう)材の形状をモチーフに、エヴァンゲリオンの世界観を表現したアートウオール。
南側、西側の壁面に今回新たに展示する森山さんの作品「SHINJUKU」は、写真集「新宿」「ニュー新宿」などから街の姿を切り取った、未発表の作品を含む計29点。中には、エヴァンゲリオンのキャラクターが写った写真や「シン・エヴァンゲリオン」のポスターにイメージが近い写真、歌手・宇多田ヒカルさんの写真も見られる。森山さんは2002年に刊行した「新宿」(月曜社)の中で、「現在新宿の街は、現実と仮想、逸楽と哀感が夜に日に錯綜(さくそう)し、蝟集(いしゅう)する群衆が雑多な欲望を抱えてさまよう、巨大なスタジアムと化している。そして新宿という街ほど、坩堝(るつぼ)とか煉獄(れんごく)といった言葉がよく似合う所はない」と触れている。
「再生/新生」をテーマに掲げる同プロジェクトのアートウオールは、森山さんの作品展示をもって全面が完成する。担当者は「この場所は半世紀以上にわたり新宿ミラノ座として親しまれ、新宿の文化の変遷を歩んできた。2014年に惜しまれながら閉館したが、新たな施設が誕生するその建設中の期間も、新宿の街の魅力と文化を絶やさず、新しい時代の創生への祈りを込めて、同プロジェクトを展開している」と話す。
「森山さんのアートウオールは、都会の空気を感じながら鑑賞できる屋外ギャラリーとなっている。ウェブサイトでは、展示されている写真を全て1枚ずつ鑑賞できる。新宿の歴史と向き合い、新しい時代を感じるアートウオールを楽しんでもらえたら」と呼び掛ける。
展示は2022年初夏ごろまでの予定。作品は特設ウェブサイトでも鑑賞できる。現地での鑑賞の際は、マスク着用の上、混雑を避け、会話を控えるよう呼び掛ける)。