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「ヴァイナル文學選書」から新宿のビア&カフェ「ベルク」編 詩と写真でつづる

「ベルクの風景」の表紙

「ベルクの風景」の表紙

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 複数の作家が、一つの街をテーマに書く掌編小説シリーズ「ヴァイナル文學(ぶんがく)選書」(東京キララ社)から7月25日、詩集「新宿・BERG編 ベルクの風景」が刊行された。

詩を手掛けた石丸元章さん

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 2018(平成30)年10月に始動した同シリーズは、従来のとじられた本の形態を取らず、とじないままのバラ刷りをヴァイナル(ビニール)によって密封する。テーマと同様、作品の流通も一つの街に限定し、通販を行わず、第1弾として刊行した「新宿歌舞伎町篇(へん)」も、新宿区内の書店やカフェ、作品の朗読会会場で販売した。これまでに石丸元章さん「聖パウラ」、海猫沢めろんさん「鬼畜系ゲームブック熊猫」、漢a.k.aGAMIさん「北新宿2055」、菊地成孔さん「あたしを溺れさせて。そして溺れ死ぬあたしを見ていて」の4作品を発表した。

 スピンオフ企画となる今回の1冊は、石丸さんが新宿「LUMINE EST(ルミネエスト)」(新宿区新宿3)地下1階にあるビア&カフェ「BERG(ベルク)」のコロナ禍にある日常を詩に詠んだもの。同店の副店長で写真家の迫川尚子さんの写真を添える。担当者は「新型コロナウイルスの影響で、飲食店が工夫を凝らしてさまざまなテークアウトを用意する中、文学をテークアウトできたらどうかと考えた」と話す。

 作家で同シリーズの発起人でもある石丸さんは1965(昭和40)年生まれ。1996(平成8)年に自身の経験を基に書いた私小説的ノンフィクション「スピード」を出版。「アフター・スピード」「平壌ハイ」などの著書がある。迫川さんは種子島生まれ。きき酒師、調理師、アート・ナビゲーターの資格を持ち、「味の形」「新宿ダンボール村」「食の職」などの著書がある。

 石丸さんは「コロナ禍でやり玉のようにされている東京の街の飲食店と、そこで働く人々。そこへ集まる人やお客さんたちの風景、『ベルク』という新宿駅ターミナルの小さな地下の1店を、象徴的な定点として描いた。台風のようなコロナ禍の新宿で、それでも奮闘する全ての人々を、あるいは力付けることができる作品を手に取って見ていただけたら」と話す。

 デザインは、「新宿歌舞伎町篇」から引き続き井上則人デザイン事務所の井上則人さんが担当する。

 新宿区限定発売。価格は1,000円(税別)。

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