長編アニメーション映画「音楽」の先行上映会が12月12日に新宿武蔵野館(新宿区新宿3)で行われ、上映後、岩井澤健治監督、原作者である大橋裕之さん、声優を担当した俳優の前野朋哉さん、芹澤興人さんが登壇した。
同作品は大橋さんの自費出版漫画「音楽と漫画」を長編アニメーション化したもの。楽器を触ったこともなかった不良たちが思いつきでバンドを組むところから始まるロック奇譚(きたん)。岩井澤監督が製作期間7年以上をかけ、全て手描きの4万枚超を作画したほか、クライマックスの野外フェスシーンをダイナミックに再現するため、実際にステージを組みミュージシャンや観客を動員してのライブを敢行した。オタワ国際アニメーション映画祭・長編コンペティション部門でグランプリを受賞。元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎さんをはじめ、前野朋哉さん、芹澤興人さん、平岩紙さん、竹中直人さん、岡村靖幸さんら声優陣の参加や、ドレスコーズの主題歌、オシリペンペンズの劇中曲、山田孝之さん斉藤和義さんの応援コメントなども注目されている。
岩井澤監督は「最後の2分ほどのフェスのシーンを描くのに2年くらいかかった(笑)。キャスティングについて、早い段階で前野さん芹澤さんにお願いしようと考えていた。原作者である大橋さんは坂本さんへの依頼交渉など、本当は総監督と言ってもいいくらい、いろいろ動いてくれた」と振り返る。
今回の上映会を鑑賞した前野さんは「冒頭の『バンド、やらないか』の静まりかえった雰囲気やライブシーンなど音に関するものがすごい。最後のシーンでは涙が出そうになるくらいぐっと熱くなった」と話す。
原作者の大橋さんは「映画化に当たり音をどうするのか、歌をどうするのかは気になった。岩井澤監督とは家も近所なのでスーパーで偶然会った時に進捗(しんちょく)を聞いたり、そのまま打ち合わせをしたりした(笑)。完成してみると、原作を超えているというレベルじゃないくらい100点を超えた出来になっていた」と明かした。
2020年1月11日より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。