写真家・舞台作家の三野新(みのあらた)さんの作品「『息』をし続けている」が現在、新宿の「人間レストラン」(新宿区歌舞伎町1、TEL 03-6265-9700)で常設展示されている。
同作品は、アーティスト集団「Chim↑Pom」が2018年10月14日から2週間限定で行ったイベント「にんげんレストラン」で、会期中毎日上演したもの。イベントは、会場となった旧歌舞伎町ブックセンタービル(歌舞伎町2)の解体に合わせ、スクラムライスが7月にオープンした「人間レストラン」の店名をアイデアソースに、天井をくりぬき、3フロアを使いながら人間の存在を強く意識させるパフォーマンスなどを展開した。
担当者は「この作品は、同エリアで起きていた7件の飛び降り自殺を受け、『し続ける』ことの重要性と共に変化を続けた。歌舞伎町という街に存在し続けることに意義があると感じ、当店での常設展示を決めた」と話す。
三野さんは1987(昭和62)年福岡県生まれ。2010年より「写真と身体の関係性を追求するカンパニー」であるヒッピー部を主宰し、以降全作品の写真・構成・演出を手掛ける。2013年「Z/G」での初個展以来、三野個人名義での写真展示、パフォーマンス作品の発表を行ってきた。2017年、演劇を行うカンパニー、ニカサンを結成。同年、東京芸術大学美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。
フランスの劇作家、サミュエル・ベケットの戯曲「息」を原案にした同作品。三野さんは「ベケットの描く世界において、誤解を恐れずに言えば、僕はイメージを演劇化すること、文学をイメージにおいて描写することに意義があると考えている」とし、「主体は僕自身やスタッフのみんなやChim↑Pomメンバーやご来場いただいた観客の方々などのありがたい協力のもと、彼ら/彼女らの息の音の録音で構成されており、全て人間から発生したものである」と話す(一部ステートメントから引用)。
展示では「息」の再生に合わせ、ライトが点滅する。「イベント開催中に当店へお越しいただけなかった方も、この展示をきっかけに足を運んでもらえたら。歌舞伎町という街、当店のある場所を含め作品が置かれている状況と共に見ていただければ」と呼び掛ける。
営業時間は18時~5時。