新宿歴史博物館(新宿区三栄町、TEL 03-3359-2131)で12月10日から、「絵双六(えすごろく)ワンダーランド」が開催される。
展示より「新案 花ことば双六」1949年(新宿歴史博物館所蔵)
「仏法双六」など仏教用語を遊びながら覚えるための、絵のない文字だけのものから始まったといわれるすごろくは、版画技術の発達とともに江戸時代に庶民の間に広まり正月の遊びとして定着した。機械による大量印刷が可能になり、同時に大衆向けの雑誌の発行が増えた明治以降は、新年号の付録として多様な絵すごろくが登場したという。同展では所蔵する約150点の中から、明治期以降のものを中心に約60点を展示する。
館内は、「絵双六の歴史」に始まり、子どもが手で遊ぶために刷られた「おもちゃ絵」、旅がテーマになった「道中双六」、少年・少女雑誌の付録につけられていたすごろくを集めた「少年のあこがれ」「女子のあこがれ」などのセクションに分けられ、当時の雑誌など資料も併せて展示。鑑賞されるものでなく遊び終わればいつの間にか忘れられ捨てられてしまうことも多いすごろくは、これまであまり価値のあるものと考えられていなかったが、盤上には庶民のものならではの風俗や流行、世相が細やかに描かれているという。
学芸員の藤本さんは「すごろくは過程を楽しむ遊び。盤面が一つの世界になっていて、上がりには一つの理想や憧れが描かれていることが多い。当時の少年がどんな夢を持っていたのか知ったり、少女向けのすごろくに描かれた洋服や着物から当時の流行などを見たり楽しめる」と話す。
展示のほか、自分ですごろくを作って飾ることのできるコーナーも設置。来館者は、あらかじめマスが書かれた紙に自由に作ることができる。期間中、関連の講演も予定するほか、江戸時代のペーパークラフト「立版古(たてばんこ)」作りや千代紙で作るノート作りなどのワークショップも予定する。
開館時間は9時30分~17時30分(入館は17時まで)。2月19日まで(12月12日、26日~1月3日、10日・23日・2月13日は休館)。