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「漱石山房」記念館予定地で発掘の住宅遺構 専門家ら見解まとめる

真上から見た調査区。L字型に並んだ房州石のほか、御影石やレンガなども出土した(写真は区提供)

真上から見た調査区。L字型に並んだ房州石のほか、御影石やレンガなども出土した(写真は区提供)

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 夏目漱石の本格的記念館建設予定地(新宿区早稲田南町7)地下から建物基礎などが見つかり、専門家らによる調査が行われていたが、新宿区は7月30日、漱石が晩年を過ごした通称「漱石山房」のものではなく、遺族が新築した住宅の遺構であるとの見方を強めている。

調査区西側から東方向を望む

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 漱石は、1916(大正5)年12月に亡くなるまでの約9年間、漱石山房に居を構え執筆活動を行った。死後、鏡子夫人が母屋を新築し、書斎と客間部分は曳家(ひきや)・保存されていたが、いずれも空襲で焼失している。

 区では、現在区営住宅の敷地となっている跡地を整備し、かつての書斎や客間、回廊を復元して著作や関連資料を展示する記念館の建設を計画。生誕150周年にあたる2017年2月の開館を予定していたが、4月下旬の試掘で地下から建物基礎が見つかり、文献調査や学識経験者による現地調査や意見聴取などを行っていた。

 最終的に見つかった水回りと思われる遺構の規模が漱石山房のものにしては広すぎることや、遺構全体が戦災時の焼土層のすぐ下にあり、直接戦災で焼けていること、基礎の切石に塗布されたモルタルが、住宅建築では明治時代末以降に使用されるようになったことなどから、現時点では夫人が新築した住宅の一部である可能性が大きいという。調査のため中断していた区営住宅の解体工事は再開されており、区が着工・開館時期などの方針を決定するのは9月以降になる。

 6月末の本紙取材時には「漱石山房の一部であれば記念館の目玉になる」と期待を寄せていた区文化観光課の担当者は、今回の調査結果を受け「発掘された基礎を記念館にどういった形で展示するかは審議中」としながらも、「説明板を付けて展示し、“土地の記憶”として残していきたい」と話している。

 なお、区の「夏目漱石記念施設整備基金」では引き続き寄付を募っている。目標額は2億円で、7月30日現在の寄付金総額はおよそ6,235万円。基金の詳細および寄付方法は、新宿区のホームページで。

※記事の表現に一部誤りがありました。訂正しお詫び申し上げます。

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