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「夏目漱石終焉の地」から建物基礎見つかる 建設予定の記念館は開館日を延期

今回見つかった房州石の建物基礎(写真は区提供)

今回見つかった房州石の建物基礎(写真は区提供)

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 新宿区が整備を進める夏目漱石の本格的記念館「漱石山房(仮称)」建設予定地(新宿区早稲田南町7)の地下から建物基礎が見つかり、区は生誕150周年にあたる2017年2月に予定していた開館を延期すると発表した。

「漱石山房(仮称)」記念館予定地の図

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 新宿で生まれた夏目漱石は、1916(大正5)年12月に亡くなるまでの約9年間、早稲田南町7丁目に居を構え執筆活動を行った。邸宅は後に「漱石山房」と呼ばれ、漱石の死後は遺族が書斎と客間部分を曳家(ひきや)して保存していたが、1945(昭和20)年の空襲により焼失。現在は区営アパートの敷地になっており、区立漱石公園が隣接する。

 区の埋蔵文化財取扱要綱に基づき4月下旬に試掘を行った際、その一角の地下約20~30センチから、長さ約55~90センチ、幅約20センチの石材が4つ見つかった。一度埋め戻し、6月中旬にアパートの住民転居が完了した時点で改めて本格的調査を始めた。

 江戸末期から明治にかけて多く使われた千葉県房総半島産の凝灰岩(房州石)で構成されていること、漱石山房が建っていた時代の地図と発見場所を照合すると一致することなどから、何らかの関連性が考えられるという。学識経験者や石材の専門家らによる鑑定結果などを踏まえ、7月の文化財保護審議会にて審議。9月以降に、保存などについて区としての方針を出す。

 区文化観光課の担当者は、「史跡なので掘れば何かが出てくることはある程度予想していた。今後さらに見つかる可能性もある」と話す。また「開館日は延期になったが、漱石山房に関する完全な建物の記録は残っていないため、今回このようなきれいな状態で建物基礎が見つかったことで、(もし漱石邸と関連があれば)貴重な研究材料になるし、記念館の目玉としても活用できる」と期待を寄せている。

 区では「夏目漱石記念施設整備基金」を設立、現在寄付を募っている。目標額は2億円で、6月29日現在の寄付金総額はおよそ6,175万円。基金の詳細および寄付方法は、新宿区のホームページで。

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