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震災前に撮影された「福島第一原発」の写真展-西早稲田のギャラリー

「海が見たかっただけなのに」

「海が見たかっただけなのに」

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 早稲田通り沿いの喫茶店「aunt(アント)」(新宿区西早稲田3、TEL 03-6273-8885)で7月23日より、笠井浩司さんの写真展「海が見たかっただけなのに~在りし日の福島第一原発・大熊町・双葉町~」が開催される。

 笠井さんは1970(昭和45)年山梨県生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、出版社に入社。2007年にフリーカメラマンとして独立し、グループ展などで作品を発表しながら、雑誌のインタビューや店舗取材のカメラマンとして活動。同展は初の個展となる。

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 「2007年の新潟中越地震の際、当時も『柏崎刈羽原子力発電所』が停止し、真夏の東京への送電が危ぶまれた。東京の電力供給源が新潟、そして福島に依存しているとは知らず、クーラーをつけっぱなしにしながらテレビで高校野球を見ている自分に矛盾を感じた」と笠井さん。自己矛盾の混乱に陥り、「一度、自分の目で原発のある町、『原子力発電所』を見に行かなければならない衝動に駆られ、大熊町、双葉町を撮影しに訪れることにした」。これが動機となり、4年前に見学施設を訪ね、震災前の原発を撮影。同展では、その時の20余点の作品を発表する。

 撮影時の街の様子について、「茨城県の東海村や静岡県の浜岡には全国展開するチェーン店や大型スーパーもあり、原発によるさまざまな恩恵を受けている印象を受けたが、事故があった福島第一原発のある大熊町や双葉町は過疎が進み、町行く人も少なく疲弊している感じを受けた」と笠井さん。今回の原発事故については、「原発事故は『まさか』と『やはり』が同居した複雑な心境。まさかというのは、こういった自然災害で原発が事故を起こすとは思ってなかったから。やはりというのは、もし事故が起こるのならば単純な人災ミスで事故が起こってしまうのではないかと感じていたから」と話す。

 「たった数カ月前まで人々が平和に暮らしていた町が、事故によって立ち入ることができなくなってしまった。4年前の大熊町、双葉町の何気ない光景だが、『淡々とした日常の積み重ね』がどれほど大事なものかと感じていただければ」と笠井さん。

 営業時間は11時30分~22時30分。今月30日まで。会期中無休。