新宿・靖国通り沿いの花園神社(新宿区新宿5)で恒例「酉の市」が行われ、最終日を迎えた11月28日には大勢の参拝客が詰めかけた。前夜祭を含め、6日間で動員数は60万人に上った。
境内には1,000灯以上の奉納提灯が並び、熊手を売る露天商が64店、軒を連ねた。参拝客は、開運招福・商売繁盛・家内安全を願う商売人などが中心。神社に訪れると、「酉」を「取り」に掛けて「飾り熊手」を購入していた。神社では深夜2時ごろまで三本締めの手拍子の音が鳴り響いた。
中野区で韓国料理店「LEE-EN」を営む神崎夫妻は、イノシシ仕様の熊手を購入し、周囲の参拝客からも「素敵な熊手」と話題を呼んでいたほか、今年、世田谷にエステ店もオープンさせたという神崎華蓮さんは年女にあたることから「毎年購入するにつれて大きなサイズにしていきたい」と話していた。
また、東久留米市の建設会社オーナーの伊佐喜光さんは、新宿界隈の現場の受注が多いため、毎年ここに足を運び、従業員とともに工事の安全を祈願しているという。西新宿を本社に全国で携帯ショップを展開する経営者は「今年は衿を正して参拝させて頂いた」と顔をほころばせた。境内には、顧客が割り箸に挟んで熊手に差してくれた1年間の「貯金」を片手に新しい熊手を買い求める参拝客の姿も見られた。
恒例の「見世物小屋」では今年、大蛇を飲み込む女の演目を披露。1公演につき最大100名におよぶ見物客を集め、深夜まで歓声が上がるなどの盛り上がりを見せていた。演目は、関東では唯一の存在となった一座(町田市)によるもの。
天保5年に加賀で創業、昭和から新宿にのれんを構え、「日本一高い、日本一うまい」というキャッチフレーズで有名な名店「花園万頭」では、期間中に限定で「お酉様まんじゅう(5個入り/1050円)」を販売。縁起物のお土産として3年前から発売しているという。
「アングラ芸術の聖地」としても知られる花園神社。唐十郎さんは劇団「状況劇場」(1988年に解散)をこの地から発足させており、唐さん率いる劇団や新宿ゴールデン街のバー店主による公演、音楽バンドライブなども、この地で開催されている。