ウクライナ国立歌劇場による「第九」公演が12月29日・30日、新宿の「東京オペラシティ」(新宿区西新宿3)コンサートホールで開催される。
今年創立155周年を迎える同劇場からダンサーや奏者などメンバー約200人が来日する。12月17日に神奈川県で行ったバレエ公演「ドン・キホーテ」を皮切りに、来年1月15日まで全国14都市で計26公演を行う。
広報担当者の薮谷みちえさんは「バレエ、オペラ、オーケストラと、劇場挙げて公演を行う貴重な機会」と話す。
薮谷さんによると、戦禍のため同劇場所属メンバーは半数以上が国外へ避難したが、芸術活動を続けてほしいというウクライナ政府からの依頼や自国民の強い要望を受け、同劇場では客数制限などを設けつつ5月から公演を再開したという。「日本公演に向けたリハーサルや、ポーランドを経由して2日間近くかけて来日するなど通常とは違う状況にあるが、ウクライナや劇場を応援してくれている日本の皆さんに感謝の気持ちを伝えたいという意向を受け、多方面からの支援、協力の下に公演が実現した」とも。
ウクライナ国立劇場管弦楽団は1834年に誕生したオーケストラ団体で、1880年代にはチャイコフスキーを劇場に招いてオペラを上演するなどの歴史を持つ。新宿公演当日は、管弦楽団員、合唱団員、ソリストが出演し、ベートーヴェンの「エグモント」序曲、交響曲第9番ニ短調を上演する。指揮は、同劇場音楽監督で首席指揮者のミコラ・ジャジューラさんが務める。
「自由、平等、平和と友愛を求め、『すべての人びとは兄弟となる』と歌い上げる第4楽章歓喜の歌。過去のどの年とも、ほかのどの団体とも違った思いを抱え、芸術家、表現者としての姿勢を貫く演奏は、観客にとっても特別な公演になると思う。年末、渾身の演奏を楽しんでもらえたら」と来場を呼びかける。
開演時間は、29日=13時、30日=14時。チケットは=S席1万5,000円、A席=1万2,000円、B席=9,000円。