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新宿の街の歴史たどる「新宿の迷宮を歩く」出版 建築物やゆかりの文化人も

「新宿の迷宮を歩く 300年の歴史探検」の表紙

「新宿の迷宮を歩く 300年の歴史探検」の表紙

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 新宿の街の歴史や文化の変遷などをつづった「新宿の迷宮を歩く 300年の歴史探検」(平凡社)が5月15日、発売された。著書は新宿歴史博物館館長の橋口敏男さん。

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 1885(明治18)年、武蔵野の雑木林の中に誕生した新宿駅は、2000年代には世界で最も乗降客の多い駅としてギネス世界記録にも認定された。同書は、新宿駅の誕生に始まり、駅と共に発展してきた東口や歌舞伎町、西口などの街の史実をたどるほか、江戸時代にさかのぼり、ルーツである宿場町「内藤新宿」や「新宿御苑」などについて紹介する。

 ほかに「新宿に出現したサラリーマンの暮らし」や「新宿二丁目は牧場だった」「集う人々―女優・芸術家・文化人」といった章も並べ、市井の人の暮らしぶりや、新宿遊郭に住んでいた夏目漱石などの文豪、アイドル一号を生んだ劇場ムーランルージュや、アートシアター新宿文化など、文化の中心地となった背景にも触れる。

 橋口さんは1955(昭和30)年長崎県に生まれ、東京で育つ。大学卒業後、新宿区役所に就職し、以後、まちづくり計画担当副参事、区政情報課長、区長室長などを勤め、2016(平成28)年に同館館長に就任した。

 40年以上にわたり新宿と関わり、街を見続けてきた橋口さんは「お話をいただき、今までの集大成として新宿の魅力を伝えられたらと思った。新宿は歌舞伎町や西口の高層ビル郡といったイメージで語られることが多いが、今でも40万人の人々が暮らす街。多種多様な新宿の姿は一冊にまとめきれないほどだった」と振り返る。

 まちづくりにも長く取り組んできた経験を生かし、町歩きマップを配したコラムでは、橋口さん自身が撮影した写真を交え、各界隈の街の様子を伝える。橋口さんは、「百貨店や老舗、歌舞伎町やゴールデン街に、さまざまな国の人々が混ざり合う大久保など、新宿は表情が豊かで、誰もが活躍できる街だと感じる。面白い建物も多く点在しているので、本を片手に実際に街を歩いてもらえたら」と話す。

 価格は920円(税別)。

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