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森山大道さん「写真集 あゝ、荒野」 映画公開で作品撮り下ろした新宿も

森山大道さんの「写真集 あゝ、荒野」(KADOKAWA)より。

森山大道さんの「写真集 あゝ、荒野」(KADOKAWA)より。

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 新宿の街を撮り続けてきた写真家、森山大道さんの「写真集 あゝ、荒野」が10月6日に出版された。A5判変形、144ページ。出版はKADOKAWA。

「写真集 あゝ、荒野」表紙デザイン

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 映画館「新宿ピカデリー」で上映中の映画「あゝ、荒野」公開に合わせて刊行した同写真集。寺山修司さんが1966(昭和41)年の新宿を舞台に、唯一残した長編小説を原作にした同映画は、岸善幸監督の手で、2021年の新宿を舞台に新たな物語として製作された。

 森山さんは、同映画のイメージビジュアルを手掛けている。同写真集には、1960年代から新宿の街を撮り続けてきたこれまでの森山さんの作品のほか、ゴールデン街で撮影した同映画のポスターショットや、映画に出演する木下あかりさんの撮り下ろしカットなどをまとめた。

 編集担当の藤田孝弘さんは「60年代に出版された同小説(現代評論社)の表紙の写真も、生前の寺山さんと親交のあった森山さんが手掛けたもので、寺山さん本人が写っている。その後2005年に刊行された小説(パルコ出版)に使われた写真なども一部見ることができる」と話す。

 「造本、写真構成を手掛けた町田覚さんの発案で、新宿のBギャラリー(ビームスジャパン内)で同映画を映写し、そのスクリーンを森山さんが撮影した。写真集にはスクリーンショットと、実際の新宿の街並の写真が交互に並べられている。ページをめくると映画のシーンがフラッシュバックするように感じられるのでは」とも。

 10月15日まで同ギャラリーで公開を記念して行われた森山さんの展示では、トークイベントも行われた。「お客さまから『映画を見たら寺山さんはなんて言うと思うか』という質問も出た。森山さんは『なんで主役が自分じゃないのか、というのでは』と答え、『寺山さんは映画スターのようなオーラがあった』などエピソードを語った」と藤田さん。

 「長く新宿の街を撮り続けてきた森山さんならではの写真作品と、今回新たに製作された映画、そして縁が深かった寺山さんの小説世界。映画が作られたことだけで生まれた写真集ではなく、そのすべてを内包したような一冊になったのでは」とも。

 価格は2,700円。

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