新宿東口のコニカミノルタプラザ(新宿区新宿3、TEL 03-3225-5001)で文部科学省の教育・文化週間に合わせ、その発展を支援する取り組みとして、絵本作家を中心とする特別企画展「“手から手へ展”関連企画『異郷の絵本作家たち 降矢奈々×フィリップ・ジョルダーノ』」が11月1日から開催される。
同展では、スロバキア在住で絵本作家の降矢奈々さんと、日本で活動を展開するイタリア人作家フィリップ・ジョルダーノさんによる、生まれ育った国を離れ異なる文化の中で自己のアイデンティティと向き合い創作を続ける2人の作家の作品を紹介する。
降矢さんはデビュー作「めっきらもっきらどおんどん」やベストセラー「おれたち、ともだち」シリーズをはじめ、子どもから大人まで幅広い層の支持を得る、実力と人気を兼ね備えた絵本作家。1992年にブラチスラバ美術大学に留学し、以来スロバキアに生活の拠点を移し、創作に打ち込んでいる。
ジョルダーノさんは、イタリアの美術学校を卒業後、イラストレーションやアニメーションの仕事を開始。2010年のボローニャ国際絵本原画展第1回sM出版賞の受賞をきっかけに日本へ移住し、現在は新進の絵本作家・イラストレーターとして国内外で注目を集める。
二人の接点は、東日本大震災以降に動き出した「手から手へ展 絵本作家から子どもたちへ3.11 以降のメッセージ」から。同展は、ヨーロッパに住みながら日本の現状に心を痛める降矢さんの呼びかけから始まり、イタリアのボローニャを皮切りにヨーロッパ諸国、そして日本へと巡回中の7カ国110 人による作品が展示された。震災以降も日本で活動を続けるジョルダーノさんも立ち上げからの参加作家のひとり。
会場では、降矢さんの初公開の新作絵本「黄いろのトマト」(2013年10月中旬ミキハウスより刊行予定)の原画を全点展示するほか、新作絵画やこれまで出版された代表的な絵本の原画も数点ずつ展示されるなど、合計約55点が展示される予定。また、ジョルダーノさん作の絵本「かぐやひめ」(2011年スペインSM出版)の原画全点にあわせ、アクリル絵具で描いた作品やシルクスクリーンやCGを使って自然を愛し日本の神秘性に興味を抱いてさまざまな生き物を描いた作品を新作を含め約40点展示する。
「オリジナリティを異文化との出会いの中で開花させている両作家は、子どもの日常のそばにあり、短い物語のなかでひとつの世界が完結する“絵本”が、国境を越えて、よろこびや安らぎ、新しい気づきや未来への希望を伝えられると信じている。コニカミノルタプラザでは、この二人展を『手から手へ展』の関連企画として連携することで、絵本作家がどのようにこどもたちの未来を見つめているかを絵本ファンのみならず、多くの観覧者に知っていただき、また一緒に考える機会を共有できたらと願っている」と同展担当者。
2日14時からは聞き手に絵本作家の広松由希子を迎えて降矢さんのトークショー「降矢奈々の絵本作りとスロバキアの暮らし~」(定員50人、先着順・開演2時間前より会場にて整理券を配布)を、10日には13時からと15時30分からジョルダーノさんのワークショップ「グリーティングカードを作ろう」(各回定員15人、要予約)が行われる。ワークショップは小学生以上(小学生は保護者の同伴が必要)から参加ができる。予約は電話で受け付けている。定員に達し次第受け付け終了。
営業時間は10時30分~19時(最終日は15時まで)。入場無料。11月15日まで。