新宿で実現可能なナイトタイムエコノミーの形を探るパネルディスカッション「新宿ナイトタイムエコノミーの可能性」が4月22日、新宿の「AWAKE」(新宿区歌舞伎町1)で開催された。
歌舞伎町商店街振興組合常務理事の手塚マキさん(右)、「東京レインボープライド」共同代表理事などを務める杉山文野さん(右から2人目)も登壇、意見を交換し合った
現在、オランダ・アムステルダムで「ナイトメイヤー」を務めるシャミロ・ヴァン ディア ジェルドさんと、ナイトメイヤー財団代表のラモン・デ・リマさんが登壇した。主催で司会進行を務めた歌舞伎町商店街振興組合・専務理事の柴本新悟さんは、今回の招聘(しょうへい)について、「当組合は『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL』という、歌舞伎町にあるライブハウス数軒と共に制作運営するイベントを行っている。昨年ごろから外国の方も多く参加してくださったり、興味を持ってくださったりする中で、より海外の方にも知ってもらいたいと英語のホームページを立ち上げたことがきっかけで縁がつながった」と話す。
「オリンピックなども控え、今後多くのインバウンドを迎える中、日本でもナイトタイムエコノミーの認知度が高まってきたこともあり、欧州の実情を直接聞く機会が持てたらと考えた」とも。ヨーロッパでも早くにナイトメイヤーのシステムがスタートしたオランダにあって、シャミロさんはその役割を、「クラブオーナーやイベント企画運営者などに語り掛けるだけなく、ナイトライフに関わる全ての人と関わりながら、さまざまな意見を集約し行政に届けること」と話す。
2~4年ごとに市民による選挙で選ばれるナイトメイヤーはシャミロさんで2代目。もともとは2003年に小さな団体から始まり、2014年に独立組織として同財団を設立。近年ではアムステルダムのナイトライフの多様性、文化的、社会的価値を見せることを目的に「Night for the Night」といった、市内のさまざまなクラブを結ぶイベントなども手掛けた。
シャミロさんは「各国でも徐々に同様の制度が立ち上がりつつある」と言い、「ナイトライフで出会う人から受ける刺激や新たなアイデアからそれぞれが成長できる。ありとあらゆる人がナイトライフという一つの場所で、自分なりのアイデンティティーを見つけることで、それが街のアイデンティティーとなり、やがて文化を醸成することができるのでは」と話す。
柴本さんは「アムステルダムはクラブミュージックが盛ん。『交流の場』としてクラブなど多様な人が集まる場所を彼らが大切にしているのを感じる。今回話を聞いて、まずカルチャーを大事にし、カルチャーに集まる仲間をつくり、仲間からコミュニティーをつくるというプロセスを大切にしていることが分かった。コミュニティーを醸成していくことによってプライドが生まれ、副次的にそこにまた新たなカルチャーが生まれたり広がったりするのでは」と話した。