平和祈念展示資料館(新宿区西新宿2、TEL03-5323-8709)で6月27日から、「漫画でたどる引揚げ展」が開催される。幼少期を満州(現・中国東北部)で過ごした漫画家が、戦時中の体験を描いた作品を展示する。
戦争を体験していない世代や小学生にも当時の状況が想像できるように漫画を活用したイベントとなる。ちばてつやさん、赤塚不二夫さんをはじめ11人の漫画家が参加。
引き揚げをテーマにした理由は「親の愛情」と「生命賛美」を伝えるためだという。「親は例え5分の距離でも子どもの手を離さないもの。引き揚げは中国から日本まで数千キロにわたって手をつなぎ、生きて戻ってきた。その姿を想像していただければテーマが伝わるのでは」と同館学芸員の佐貫正和さん。
8月5日には、ちばさんと森田拳次さんのトークイベントを行う。引き揚げ体験者による語り部お話会、学芸員によるギャラリートークも予定。「イベントの名前には2つの意味を込めた。一つは引き揚げを体験した漫画家が当時の記憶を『たどる』こと。数十年前の思い出を呼び覚まして描いていただいた。もう一つは戦争を知らない方が追体験として『たどる』こと。引き揚げ体験をリアルな出来事として捉えてほしいと願っている」と佐貫さん。
今後も新宿に集まる人に向けて買い物や旅行の楽しみに加え、さまざまな体験を提供していきたい考え。「博物館や資料館は発見がある場所。来て良かったという満足感を持って帰っていただける企画を考えていく」という。
開館時間は9時30分~17時30分(入館は17時まで)。入館無料。9月24日まで。