NPO日本氷彫刻会が毎年主催している「全国氷彫刻展夏季大会」が7月8日、歌舞伎町シネシティ広場(新宿区歌舞伎町1)で行われ、全国各地の予選を勝ち抜いた100人のホテルや飲食店のシェフなどが、氷彫刻の腕前を競った。今年で36回目となる同イベントは、2年前から歌舞伎町で行われている。冬季大会(2月)は世界大会として旭川で行われる。
競技は正午前に開始。高さ1.1メートル、重さ135キログラムの氷柱に対し、選手は専用のノミやのこぎりを使い分け、繊細に、かつ大胆に作品を仕上げていった。審査は同点が並んだため難航を極めたが、繊細な網状の彫刻で高い評価を得た桜井勝弘さんが最優秀賞を受賞。作品名は「生け捕り」。
競技前に「氷の表現の限界に挑戦したい」と語っていた桜井さんは、目録として贈られた10万円の使い道を聞かれて「練習のために相当の氷代を費やしたのでそれに当てる」と笑い、「バーゲン時期ですし、新宿で夏の洋服を購入して帰りたいですね」と現実的な案も語った。新宿区長賞には「ねずみ小僧のコソ泥姿」を形どった作品、歌舞伎町商店街振興組合理事長賞には「犬の散歩中にウンチをきちんと始末する様子」を表現した作品が選ばれた。
大会後、同NPO押切理事長が「同会場に場所を移したことで、より多くの人々の注目を集めることができた。歌舞伎町の賑わいはさすが」と話すと、歌舞伎町商店街振興組合の新村理事長は「芸術性の高い氷彫刻をこれからも末永く歌舞伎町で開催していただきたい」と笑顔で応えた。
大会中の会場では氷製ジョッキに注がれたビールが販売され、通りがかった人々は清涼感あふれるイベントを楽しんでいた。夕刻からは、秋祭りなどで着用する「歌舞伎町睦の浴衣」が新調したことを記念し、民謡大会が行われた。賑やかな太鼓や三味線の音色に、地域住民150人がシネシティ広場をぐるりと取り囲んで踊り出し、まるで盆踊り。通行人が飛び入りしたり、外国人旅行客が珍しそうに写真を撮るなど、同会場にいた大勢の人が日本の夏の風物詩を楽しんでいた。