今年は2月22日に開催される東京マラソン。スタート地点である都庁に近い新宿ワシントンホテルビル(新宿区西新宿3)正面玄関の右側に、健脚健康の神、韋駄天を祭った「新宿韋駄天尊」がある。
江戸中期に立像が作られ、上州館林藩秋元家第2代藩主、秋元但馬守礼朝(ひろとも)公の守護神・戦神として浅草に祭祀された韋駄天尊は、1871(明治4)年、同公の下屋敷である現在の場所に遷座。多くの参拝者を集め1919(大正8)年に独立仏堂となったが、1945(昭和20)年の空襲により消失する。戦後、地域に復元の機運が高まり、韋駄天尊は1955(昭和30)年頃に現在の板碑として復元され、1986(昭和61)年再建の堂宇に祭られた。
仏教における増長天八将の一神である韋駄天は、仏舎利を奪った鬼を得意の脚力で追いかけて瞬時に取り返したといわれることから、戦いや勝負事、また足と健康の神として尊ばれてきた。そのため、毎年マラソンでの完走を祈念しお守りや絵馬を奉納する人も多いとか。堂宇の中には、参拝者が願掛けで吊した靴なども見られる。韋駄天尊堂を管理する稲足(いなたり)神社(あきる野市)によると、「その場で絵馬に書いたり、大会当日に持参し奉納したりと、皆さんさまざまな形でお参りされる」という。
また敷地内には、商売繁盛の神として遷座された蛯子稲荷大明神や、韋駄天尊の堂宇を建立した昭和期の実業家、野村専太郎・ます夫妻の像も建つ。
絵馬などの授与品は、同ホテル地階の喫茶店「カフェ・ラフィーネ」(TEL 03-3347-5055)で入手できる。同店の営業時間は平日8時~21時、土曜8時~15時。日曜・祝日定休。問い合わせは稲足神社社務所(TEL 042-558-7776)まで。