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新宿武蔵野館で「語り継ぎたい映画」上映へ-第1弾は「いちご白書」

「いちご白書」THE STRAWBERRY STATEMENT©1970 Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.; Renewal  ©1998 Turner Entertainment Company. All Rights Reserved

「いちご白書」THE STRAWBERRY STATEMENT©1970 Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.; Renewal ©1998 Turner Entertainment Company. All Rights Reserved

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 新宿東口の「新宿武蔵野館」(新宿区新宿3、TEL 03-3354-5670)で11月19日より、「語りつぎたい映画シリーズ」の第1弾として映画「いちご白書」がニュープリント&デジタルリマスター化され上映することになった。第2弾は12月17日より上映される「ひまわり」。

「ひまわり」(関連画像)

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 「語りつぎたい映画シリーズ」は、名作映画をあらためて最良の状態で上映し永く映画ファンに語り継いでもらおうと企画した。「『語り継ぎたい』というより『語り継ぐ意味がある』作品はたくさんある。ただ単に懐かしい映画を上映するのではなく、後世に大きな影響を与えたり、テーマが今でも古びていなかったり、音楽がとても良かったり、DVD化されていなかったり。いろいろな選択肢で、若い世代の方にもぜひ見ていただきたい。そしてこれからも語り継いでほしい。このような意図で年2作を目標にシリーズを立ち上げた」と、配給を行う「アンプラグド」(目黒区)社長の加藤武史さん。

 最初の公開から41年目となる「いちご白書」は、1968年にアメリカ・コロンビア大学で実際に起きた学園闘争をベースに、大学生のサイモンとリンダが軍の施設建設を巡って抗議活動を行い、翻弄(ほんろう)されていく様子を描く青春ラブストーリー。カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。DVD化もされていない。

 「荒井由実さんが作った名曲『いちご白書をもう一度』に影響を与えたほか、『白書』とつく映画やテレビドラマは昔からあるが、若者の生き方というイメージを決定づけたのはこの映画から」と加藤さん。「ニューシネマの傑作といわれ、当時としては斬新なカメラワークの工夫などが盛り込まれている。映画音楽の常識も変えた作品で、『サークル・ゲーム』『平和を我等に』など既製のロックやフォークの名曲を組み合わせることで映画のメッセージを伝えている。ロンドンでの暴動事件など、将来の希望が持てない現在の不況時代を生きる学生とも通じるところがあり、映画の内容や音楽は今の時代にもぴったり合っているように感じる」

 「ひまわり」はイタリアの大スター、ソフィア・ローレンさんとマルチェロ・マストロヤンニさんが共演した、戦争で引き裂かれた男女の愛を描いた反戦映画の傑作。ソ連戦線に送られ、終戦後も戻らない夫を探しに向かうジョバンナ。広大なひまわり畑が強烈な印象を与える巨匠ビットリオ・デ・シーカ監督の演出と、ヘンリー・マンシーニさんの哀愁誘うテーマ曲は見る者を魅了する。

 「主題歌が全編に流れ、音楽がドラマを展開するような強烈なイメージを残した。これは日本映画『砂の器』に影響を与えたと聞く。一面ひまわり畑のシーンは非常に味わい深く、ぜひスクリーンで見てほしい。冷戦下、他国と断絶していたソ連で、相当苦労してウクライナのロケを敢行しているが、そのすごさが見事に画面に表れている」と加藤さん。

 「権利関係がややこしい作品や、素材・権利の確認を発掘する作業など、地道に交渉していくしかない。時代の中に埋もれている名作を掘り当てて今後も紹介していきたい」とも。

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