テアトル新宿(新宿区新宿3、TEL 03-3352-1846)は12月16日、結成30年を迎えたロックバンド・ムーンライダーズ初のドキュメンタリー映画「PASSION MANIACSマニアの受難」の公開をスタートした。
同作品は、ムーンライダーズゆかりのミュージシャンらを迎えて開催した30周年記念ライブ(日比谷・野外音楽堂)の模様を軸に、バンドを生んだ工場街(羽田)の風景を撮影した映像、細野晴臣さん・高橋幸宏さん・サエキけんぞうさん・椎名和夫さん(元メンバー)や当時のレコード会社関係者らが同バンドについて「証言」するシーンなどで構成。バンドの内面性に加え、音楽産業、時代背景、都市論にまで踏み込んだ内容となっている。上映時間は約100分。
鈴木慶一さんは「われわれはただ音楽を作ってきただけ。それが映像として固定されることによって、30年におけるバンドの歴史の中で、最も波紋や影響や再確認を生み出した。われわれはこの映画をしっかりと受け止めなくてはいけない。今後もバンドであり続けるために」とコメントしている。
公開初日には、白井康彦監督とメンバーを代表して鈴木慶一さん、鈴木博文さん、武川雅寛さんが舞台挨拶に立った。約340名が詰めかけ、立ち見がでるほどの盛況振りだった。関西から足を運んだ28年来のファンという男性2人は上映後、「白井監督が冒頭の舞台挨拶で話していたように、今からゴールデン街に繰り出して朝まで語り明かしたい」と話してくれた。
同館は1月12日までレイトショー(21時20分~)上映を行い、全日で3,000人の動員を目指す。邦画ミニシアター上映の先駆けとして、日本映画界への影響に一役を担ってきたことでも知られる同館は、来年で開館50周年。同館支配人の柴崎聡さんは「つねに新しい文化を先取して発信していくのが当館の強み。斬新な音楽映画作品の発掘と上映にも力を注いでいる」と話している。