NPO法人「環境まちづくりネット」は、毎週水曜日、歌舞伎町の歩道に落ちているガムの除去作業を行っている。取り組みを始めて8年になる。
棒の手元を操作して先端から溶剤を出し、スクレーパーでこそげ取る
15時に新宿区役所本庁舎(新宿区歌舞伎町1)前を出発し、歌舞伎町1丁目と2丁目の境にある花道通りの一部を40分程かけて清掃する。新宿区が主催する路上清掃活動「歌舞伎町クリーン作戦」と合同で行い、区役所の職員も参加する。使うのは、立ったままの姿勢でガム取りができる専用機具「ガム取り棒」と、先端に取り付けた除菌剤入り溶剤「ガム取り一番」。いずれも、同NPO理事長の荻野善昭さんが代表取締役をつとめる株式会社オギノ(新宿区)の製品だ。
以前は衣料品店を経営しており、店の前に落ちていたガムに悩まされていたという荻野さん。「新宿を再び『歩きたいまち』に」という思いからガム取りを始めたが、既製品のヘラを使いかがんで行う作業は体への負担が大きく溶剤の扱いにも危険が伴うことから、安全な道具の開発に乗り出す。歌舞伎町の環境改善を推進する中山弘子区長に完成品を寄贈したのをきっかけにNPOを設立し、活動を開始する。
作業に同行して足下に視線を下ろすと、至る所にガムが作った黒い染みがあることに改めて気付かされる。「こんなに汚れる場所もそうはない」と話す荻野さんは、「池袋でも同じ活動をしているが、月1回にもかかわらずほぼきれいになる。(歌舞伎町は)毎週同じ場所でガム取りをしているのに、同じだけのガムが取れる。誰かが捨てているということ」とやるせなさものぞかせた。
それでも「無理をせず続けていきたい」と荻野さんは淡々と語る。2020年オリンピック・パラリンピック開催に向け、“きれいな東京”を目指して進化したガム取り棒を開発するプランもあり、「まだ6年ある」と意気込んだ。