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新宿で今敏さんの回顧展「千年の土産」-限定画集の先行販売も

「今敏 回顧展『千年の土産』」 ©KON’STONE,Inc

「今敏 回顧展『千年の土産』」 ©KON’STONE,Inc

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 花園神社の裏にある「新宿眼科画廊」(新宿区新宿5、TEL 03-5285-8822)で8月12日より、「Kon's Retrospective今敏 回顧展『千年の土産』」が開催される。

画集に収録されている「海帰線」新装版表紙イラスト(関連画像)

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 1963(昭和38)年北海道札幌市生まれの今敏(こんさとし)さん。漫画家時代の代表作には「海帰線」「ワールド・アパートメントホラー」「セラフィム」などが、アニメーション監督に転向してからは「PERFECT BLUE」「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」といった話題作を次々と発表。世界各国の映画祭に招待されるなど、日本を代表するアニメーション作家の一人として国内外で高い評価を受ける。次回作「夢みる機械」の制作に取り掛かっていた昨年8月、46歳の若さで急逝。翌日発表された、「余命半年のがん」を告知されてからつづられたブログ「さようなら」は大きな衝撃を生んだ。

 同展では、アニメーション作品のために制作したイラストレーションから私的なスケッチまで、貴重な作品を展示。「会場は前回とても力を入れて個展を開いた、本人にもスタッフにとっても思い出深い場所。がんを宣告されてから本人も作品を整理していた。前回展示されなかった作品も多く出展する」とKON’STONEスタッフの高橋さん。

 今回初めて展示される作品には漫画の原画も。今さんの後期の作品から「OPUS」など数点がセレクトされる。「本来漫画の生原稿というのはホワイトで修正されていたり汚いものだったりするが、原画としてはとてもきれい。単行本よりも大きい原寸大の緻密な絵を味わってほしい」とも。

 会期中には同画廊で「今敏 画集BOX」(300セット限定、2万9,400円)100セットを先行販売する(画廊での予約・発送は行わない)。病床の中、PCを自ら操り、絵画作品のセレクトとデータの整理・修正を行い、亡くなる一月前に「販売可能なイラストのデータとリスト、解説」を完成させた最後の贈り物。とじられた本ではなく、一点ずつ一枚の紙に印刷された全64作の画集だ。作品の制作意図、手法や技法、制作時の思い出などがつづられた自身による解説も掲載する。同展での販売後、残りの200セットはオフィシャルサイトで9月1日より通信販売する。

 今さんとの思い出について、同画廊のたなかちえこさんは「今から3年前、まだ駆け出しのこの小さな画廊を気に入っていただき、今監督の監督デビュー10周年展『十年の土産』を開催した。今から考えても夢かと思うくらいに突然で不思議な出会い。画廊にとっても、私自身にとっても大きな出会いであり、貴重な経験をさせていただいた」と振り返る。

 「展示が終わってからも気に掛けていただき、『またいつか展示ができたら』とおっしゃっていただき、私も『10年後に、20周年展をさせていただきたいな』と漠然と考えていたりした。『2010年8月24日』。こんなに早くお別れが来るとは思ってもみなかった。作品の、あの世界観そのままの、嘘偽りなど何一つない、とても大きな方だった。今回、このような形での展示となったのはとても悲しい事だが、今一度監督の作品を皆さまにご覧いただける機会を設けられた事に感謝してる」と、たなかさん。

 「今監督の遺書『さようなら』は今なお多くの方の心に深く刻まれていることでしょう。その中に監督の奥さまの記述があるが、まさに『二人で一人』という表現がぴったりの理想のご夫婦。今回の展示も奥さまのご尽力のたまもの。展示最終日の8月24日は今監督の命日。皆さまぜひ、監督が生み出した素晴らしい作品に会いに来てほしい。今監督の作品はいつまでも生き続けている」とも。

 開場時間は12時~20時(初日は18時まで、最終日は17時まで)。木曜定休。入場無料。8月24日まで。

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