

株式会社フジクラ(代表取締役社長CEO:岡田 直樹)は、フュージョンエネルギー分野のリーディングカンパニーであるCommonwealth Fusion Systems(以下CFS社)と、ARC発電プラントの商用展開を加速する取り組みの一環として、高温超電導線材(※1)の長期供給契約を締結しました。
ポイント
・フジクラは、CFS社によるARC発電プラントの商用展開を支えるため、1万kmを超える高温超
電導線材を供給します。
・本契約は、高温超電導線材に関する過去最大規模の契約であり、ARC発電プラントのサプライ
チェーン構築における重要なマイルストーンとなります。
フジクラは、本契約に基づき、CFS社に対して1万kmを超える高温超電導線材を供給します。CFS社は、開発を進めるARC発電プラント向けに同線材を使用し、まずは米国バージニア州チェスターフィールド郡のFall Line Fusion Power Station(TM)で開発が進められている送電網規模の初号プラントに採用する予定です。
本契約は、高温超電導線材に関する契約として過去最大規模となります。フジクラは、高温超電導線材を大規模に供給できる体制を整えるため、生産能力の増強に向けた投資を進めています。
Commonwealth Fusion Systems CEO兼共同創業者 Bob Mumgaard氏
「フジクラとのパートナーシップは、SPARCがエネルギー増倍率Q>1を達成した後のARC発電プラントの実現を見据え、当社がすでに具体的な発注と準備を進めていることを示すものです。フジクラは、当社の製造上の優先事項を理解し、当社と事業化に向けたスピード感を共有するとともに、生産能力の拡大に必要な投資に取り組むパートナーです。フジクラとともに生産体制を拡大し、将来、世界で高まるこの重要なエネルギー源への需要に応えていけることを大変嬉しく思います。」
株式会社フジクラ 代表取締役社長CEO 岡田 直樹
「本契約を通じて、フジクラはARC発電プラント向け高温超電導線材の主要サプライヤーとしての地位をさらに強化するとともに、商用フュージョン発電所の運転開始が期待される2030年代以降を見据え、長期的な事業基盤の構築を進めてまいります。フジクラは、これらの取り組みを通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献してまいります。」
本供給契約は、ARC発電プラントの建設に向けた重要なマイルストーンであり、フュージョンエネルギーの商用化に不可欠な産業サプライチェーンの強化に寄与します。また、日米連携を深め、商用フュージョンエネルギーを支える産業エコシステムを構築するうえでも大きな一歩となります。

2026年9月28日(現地時間)、米国で行われた署名式
【Commonwealth Fusion Systems (CFS社)について】
CFS社は、世界最大級の民間フュージョンエネルギー企業で、この分野において世界をリードしています。同社の中核プロジェクトであるSPARCは、正味エネルギーの生成を目指しており、豊富かつCO2を排出しないエネルギーの実現に向けた道を切り開くものです。CFS社は2018年の設立以来、40億米ドルの資金を調達しています。
SPARC(R)、ARC(TM)、Fall Line Fusion Power Station(TM)は、Commonwealth Fusion Systems(R)の商標です。

CFS社が開発を進める商用フュージョンエネルギー炉「ARC」のイメージ
【フュージョンエネルギーについて】
フュージョンエネルギーとは、太陽を輝かせている反応と同様に、重水素や三重水素などの軽い原子核が融合し、ヘリウムなどの別の原子核になる際に放出されるエネルギーです。フュージョン燃料1グラムから得られるエネルギーは、約8トンの石油を燃焼させた場合に相当すると推定されています。
フュージョンエネルギーは、エネルギー生産における「究極の目標」とも称され、関心が高まっており、常時利用可能で発電時に温室効果ガスを排出しない次世代エネルギーとして注目されています。また、燃料資源を海水から得られることから、資源制約が少なく、長期的なエネルギー安全保障への貢献も期待されています。
磁場閉じ込め方式(※2)を採用するフュージョン発電プラントでは、約1億度の超高温プラズマを閉じ込めるため、極めて強力な磁場が必要です。フジクラの高温超電導線材は、強磁場中における高い通電性能と機械的強度を兼ね備えており、プラズマを閉じ込め、制御する強力な超電導マグネットに適しています。
高温超電導マグネットによってより強い磁場を実現することで、フュージョン発電プラントの小型化が可能になり、設備投資額の低減や商用プラントの建設の容易化につながることが期待されています。フジクラはこれまでにも、高温超電導線材の供給を通じてCFS社の研究開発を支援してきました。
フジクラは、高温超電導線材の生産能力増強と安定供給を通じて、ARC発電プラントの商用展開を支援し、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献してまいります。
※1 高温超電導線材について
フジクラの高温超電導線材は、フジクラが1991年に独自開発したIBAD法(イオンビームアシスト蒸着法)を基盤とし、液体窒素温度(-196℃)でも電気抵抗がゼロとなり、細い断面でありながら大電流を流すことができる点が特長です。強磁場中でも高い臨界電流を維持できるため、コンパクトで高磁場のフュージョンエネルギー炉を実現するうえで重要な材料です。
※2 磁場閉じ込め方式(トカマク型)
ドーナツ状(トーラス状)の炉の中で、強力な磁場を使って超高温プラズマを閉じ込めるフュージョンエネルギー装置の型式です。この磁場はトロイダル磁場コイル、ポロイダル磁場コイル、中心ソレノイドコイルによって発生し、これらのコイルには高温超電導線材が使用されます。