日本画家による絵本の仕事にスポットを当てた展覧会「絵本にみる日本画」が現在、「佐藤美術館」(新宿区大京町、TEL 03-3358-6021)で開催されている。
美術を専攻する国内外の学生への奨学援助、美術を通じた国際交流による相互理解の促進に貢献することなどを目的に設立した佐藤国際文化育英財団が運営する同美術館。
同館学芸部長の立島惠さんは「話のあらすじに沿った絵本の挿絵は読者の想像力を高めるとともに、豊かな色彩や特徴ある表現を伴って、ストーリーに温かさや力強さを与えている。こうした絵本の原画が、専門の絵本作家だけでなく、日本画家によっても手掛けられていることはあまり知られていないのでは」と話す。
秋野不矩(ふく)、朝倉摂ほか、多摩美術大学教授も務める岡村桂三郎さん、福井江太郎さんの日本画家4人が手掛ける絵本5作品から、原画101点、本画4点を展示する。「まず絵本原画を一作品として鑑賞いただき、そこに見られる日本画の要素や技法、絵本としての特性を踏まえた独特の表現などをご覧いただき、同時に本画作品との表現の比較、そこに通底する創意を鑑賞する機会ともできれば」と立島さん。
絵本は、秋野が手掛けた日本の昔話「いっすんぼうし」やバングラデシュの昔話「きんいろのしか」、朝倉による「たつのこたろう」などが並ぶ。出品作家を招きアーティストトークも予定する。1月20日は岡村さん、2月24日には福井さんが登壇する。共に14時~で予約不要。要入場料。
「日本の美術界を代表する日本画家たちによる絵本挿画がつむぐ物語とのハーモニーをこの機会に楽しんでいただけたら」と来場を呼び掛ける。
開館時間は10時~17時(金曜は19時まで)。月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)。入場料は、一般=600円、学生=400円。3月3日まで。