1963(昭和38)年に新宿コマ劇場(現・新宿東宝ビル)の横に開業した日本料理「車屋本店」(新宿区歌舞伎町2)で8月19日、今年で15回目となる講談師の一龍斎貞水さんの怪談が開かれる。
一龍斎貞水さんは「講談をもっと親しみやすいものにしたい」と願い、伝統話芸と光や音を用いる特殊演出効果を調和させた「立体怪談」を考案。2002年に講談師として初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている。
講談の怪談の特徴は、幽霊ではなく世の中の仕組みや人間関係に潜むどろどろとした思いが恐怖を醸し出すことだという。「講談に堅苦しい印象を持つかもしれないが、一龍斎先生の立体怪談はエンターテインメントな内容。磨き抜かれた芸による恐ろしさ半分、楽しさ半分のイベントは毎年好評を博している」と、同店を経営する伊藤商店車屋の釣谷専務は話す。
最初は「顧客へのプレゼント」のつもりだったが、10年ほど前からネットで話題になり、講談やイベントに興味を持った人も足を運ぶようになったという。「新宿はさまざまな文化の発祥の地で、当店にも多くの文士や名士が通ってくださった。しかし街の移り変わりとともに廃れていく文化もある。今回のようなイベントを開くことで、これからも歴史をつなぎ、伝統芸能のことを知ってほしいという願いがある」とも。
講談開催時間は13時30分~14時30分(食事1部=11時30分~、食事2部=14時30分~)。料金は9,800円(食事、税・サービス料込み)。