新宿パークタワーホール(新宿区西新宿3、TEL 03-5322-6640)で2月17日、シンポジウム「これからの魅力的な都市づくり」が開催された。
シンポジウムは、同タワー1階ギャラリーで開催している写真展「第3回西新宿定点撮影映像写真展『脈動する超高層都市、激変記録37年』」の関連企画。
第1部では、3月30日にグランドオープンを控える都市型複合施設「東京ミッドタウン」(港区)の開発推進者、市川俊英さん(三井不動産・執行役員東京ミッドタウン事業部長)が講演を行った。内容は、東京ミッドタウンの概要に始まり、最新の都心開発について「生産型社会から創造型社会へ」という観点から、「日本デザインの再興」「都市の多様性」「地域との共生」という3点を重要視した開発経緯について語った。
第2部は、同展の発起人・中西元男さんが司会を務め、伊藤滋さん(内閣官房都市再生戦略チーム座長)、中山弘子新宿区長、北山孝雄さん(北山創造研究所代表)をパネリストに迎え、パネルディスカッションを行った。
杉並区で育ち、青春時代は新宿が遊び場だったという伊藤さんは、「新宿はカウンターカルチャーが集積する街。特に西新宿は、大学や専門学校などが集まる場所で、文化を創造する可能性があるのにもかかわらず、現状では回遊性に乏しくビジネスエリアということに終始してしまっている」と分析。それに応える形で北山さんが「車主体ではなく、歩行者主体の散歩道や公園通りを作るなど、ヒューマンスケールを持ったまちづくりが必要では」と提案する場面もあった。
中山区長はこれらの問題提起や提案を受けて「みなさんの意見に共感をおぼえている。現在、区では、都市マスタープランを策定中で、こうした構想を反映させ『歩きたくなるまち新宿』をテーマに、まちづくりに尽力していきたい」と話した。
会場には400人近くが集まり、それぞれの問題提起や提案に耳を傾けていた。コーディネーターを務めた中西さんは終了後、「それだけ西新宿の将来を考えようとしている人が多いということだろう。このシンポジウムが『西新宿』だけでなく、超高層都市のこれからの在り方や、時代が求めるこれからのまちづくりを再考する起爆剤になれば」と話していた。