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戦後、焼却処分を免れた従軍カメラマン撮影の記録-新宿で写真展

「慰問袋を受け取って」戦地での何気ない兵士の様子を伝える小柳さんの写真

「慰問袋を受け取って」戦地での何気ない兵士の様子を伝える小柳さんの写真

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 新宿住友ビル48階の「平和祈念展示資料館」(新宿区西新宿2、TEL 03-5323-8709)で9月27日、日本兵に同行し戦地での兵士の様子を撮影した貴重な写真を紹介する企画展「従軍カメラマン小柳次一写真展」が始まった。

「メモを取る宣撫官」(関連画像)

 小柳さんは1907(明治40)年、福岡県生まれ。東京学芸通信社、写真通信社などの写真部を経て、名取洋之助の日本工房に入社。同社から上海派遣軍特務部報道班の嘱託となり、上海に赴任。以後、終戦まで陸軍専属のカメラマンとして撮影を続ける。戦後は報道カメラマンとして活躍。1994年8月、引退先の宮崎で死去。享年87歳。

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 約8年間所属した陸軍報道部で、国内の特攻基地や中国各地、フィリピン、千島列島などで撮影を行い、その多くの写真は陸軍報道部の刊行物に掲載された。軍に提出したネガやプリントは、終戦直後に破棄または焼却処分されてしまったが、小柳さんが自宅で保管していたために焼却を免れた写真もあった。同館に保存されている写真は、2000年に寄贈を受けたもの。

 同展ではその一部から約70点を展示、前期と後期で展示替えを行う。前期では「徐州作戦」に同行した際の写真を紹介する。当時流行した軍歌「麦と兵隊」さながらの行軍の様子や、戦闘の様子、負傷した兵士を運ぶ姿などが捉えられている。後期では「武漢攻略戦」に同行した写真を中心に紹介する。過去にも小柳さんの写真は同館で公開されているが、まとまった形で公開するのは2000年以来となる。特に、兵士一人ひとりの表情を写した写真は、これまであまり公開されてこなかった。

 同展を担当する学芸員の加藤つむぎさんは「小柳さんは軍属および嘱託として約8年間にわたり、部隊と共に戦地を歩き撮影を行った。戦地で兵士たちと生死をともにするうちに、彼らの姿を自分が記録しておかなければならないという強い使命感に駆られる。小柳さんの写真に写る兵士たちは、笑っていたり、はにかんでいたり、戦争がなければ普通の生活をしていた人々。彼らの素顔を見るにつけ、戦争の愚かさ、罪深さ、平和の尊さを思わずにはいられない」と話す。

 関連企画として「お話し会・戦争体験者の証言を聞く」(10月8日14時~15時、定員先着40人)を実施。赤紙で召集され、たった1カ月の初年兵教育を受けただけで戦地へと送られた元兵士、細木善一さんが中国戦線に従軍した戦争体験を、小柳さんの写真を見ながら語る。「ぜひ、たくさんの方に参加いただき、メッセージを受け取っていただきたい」とも。

 開館時間は9時~17時30分。10月23日までが前期、翌24日からは後期となり一部展示替えを実施。入館無料。11月27日まで。