新宿コマ劇場を運営するコマ・スタジアム(新宿区歌舞伎町2)は5月28日、今年12月末日をもって同劇場を閉館することを発表した。
同社は以前から協議中だった東宝(千代田区)との新宿区歌舞伎町再開発事業について合意し、同社が所有している建物「新宿コマ劇場」の閉館を決定した。東宝が同劇場の土地や隣接する新宿東宝会館の土地・建物を所有しているために、同劇場土地の借地権を持つコマ・スタジアムが一帯の土地の有効活用に合意する形となった。
同劇場は1956年にオープン以来、美空ひばりさんや北島三郎さんをはじめとする数多くの座長公演を行い、本格的な円形舞台を持つ歌謡・芝居劇場として、昭和の新宿を象徴するものだった。近年はモーニング娘。や松平健さんの座長公演や、海外ミュージカルなど、幅広いジャンルに演目を広げていたが、ピーク時には年間100万人を超えた動員力は落ち込みが激しく、2年連続で赤字を計上。建物の老朽化も目立ち、今後の興行成績の見通しも不透明なため、今年いっぱいでの閉館となった。同劇場内の「シアターアプル」や映画館も閉館し、再開のめどは立っていないという。現在の予定では12月22日の「愛と青春の宝塚」が千秋楽となっており、何らかの閉館イベントを行うかどうかについても未定という。
閉館の情報自体は早期から把握されており、すでに織り込み済みという周囲の商店も多い中、紅白歌合戦の舞台にもなり、数々の大スターがステージで歌い踊った名物劇場が消えていくことは、時代の流れとはいえ一抹の寂しさを感じざるをえない、という商店主の声も多く聞かれた。