ジュンク堂書店新宿店(新宿区新宿3)で7月20日、評論家の小浜逸郎さんとゲイムーブメントの先駆けとしても知られる作家の伏見憲明さんによるトークショー「オトコ談義」が開催された。
同店内の8階喫茶コーナーで行われた同イベントは、男が出会う矛盾や困惑の意味を掘り下げた小浜さんの著作「男はどこにいるのか」がポット出版(渋谷区)から再刊されたことと、差別問題を個人の欲望問題と読み解き、既存のジェンダー論に対して違和を投じた伏見さんの新作「欲望問題」の発刊を記念して行われた。現在の男性が抱えている社会の状況からジェンダー論まで、2人による活発な議論が対談形式で交わされた。
「三度のメシより男が好き」という伏見さんは、マイノリティーである自身の日常を含め、「集団という社会の中で生きていくには、濁りの部分を引き受けることも大事。漂白主義が世にはびこっている」と問題提起。小浜さんも「われわれ同じ人間だよね。そういうのを踏まえた上で、個人的に好き嫌いはあっていい。差別って言葉を捨てて考えるといいのでは」と、既存のジェンダー論に異論を投げかける場面も。
最後に伏見さんはトークショーを振り返り、「不思議な空間ですね」。小浜さんも「これぐらい近い距離感のトークイベントはなかなか珍しい。皆さんの表情がとても近くて、それに引きずられて、今日はわりと楽に話せました」と締めくくった。
30人ほど集まった客席には、伏見さんの友人でもある作家の中村うさぎさん、哲学者の西研和光大学教授、性風俗研究家の松沢呉一さんの姿も見られた。