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新宿でやなせたかしさんを偲ぶ会-アンパンマンからの弔辞も

写真=「いつまでも見守っていてください」と感謝の気持ちを述べるアンパンマン

写真=「いつまでも見守っていてください」と感謝の気持ちを述べるアンパンマン

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 新宿NSビル地下1階NSイベントホール(東京都新宿区西新宿2)にて、2月6日に「ありがとう!やなせたかし先生 95歳おめでとう!」が開催された。同会は昨年10月13日に亡くなられた漫画家・絵本作家・詩人のやなせたかしさんに感謝の意を込めて開催されたもので、女優でアンパンマンの声優を務める戸田恵子さんも出席した。

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 やなせたかしさんは新宿区名誉区民でもあり、区の防犯マスコットキャラクターである「新宿シンちゃん」をデザイン。「新宿は美しい街、真珠区」というコメントも残している。会場にはやなせさんの多彩な功績を振り返るパネルが展示され、アンパンマンやバイキンマン、ドキンちゃんも登場。メッセージボードも設置され、園児や親子連れといった多くのファンが想いをつづった。また、やなせさんのラストメッセージが公開され、今後のアンパンマンの制作についても明らかになった。

 やなせさんは、「新聞に連載されていた記録に感動しました。小さな村を改革して牧畜業に切り替え、ようやく軌道にのり始めた時、東日本大震災で原発事故。放射能に汚染された村を離れ、村民はバラバラになります。しかし、その困難に屈せず、もう一度、愛する故郷を再建しようと努力しているという内容でした。これをもとに、今回は望郷と故郷の再建ということをテーマにしました。リンゴをもってきたのは画面がキレイだからです。それに東北はリンゴ農家が多い。世界中にリンゴの木を植えるために旅している『りんごぼうや』は、久しぶりに故郷をめざして帰ってきます。故郷を美しいリンゴの里に蘇らせるために!」と2014年公開の映画に触れるものがラストメッセージとなった。

 このラストメッセージについて、フレーベル館の担当者は、「先生は2011年3月11日の東日本大震災までは『そろそろ俺も引退だ』と口にしていたが、震災後には、『俺は引退するわけにはいかない、子ども達を元気づけるためには一生仕事を続けるんだ』ということをおっしゃっていた。先生が亡くなってから、アンパンマンのテレビ放送や映画はこれからどうなるの?というお声を多く頂戴しているが、アンパンマンは変わらず飛び続けている。先生は人を喜ばせるのが大好きだから、是非先生のお姿をみていただいて、これからも変わらぬアンパンマンを応援していただければ」と語った。

 また、アンパンマンの声優である戸田恵子さんは、「とうとうこういう日が来てしまった、という複雑な思い。昨年、先生がお空にいってしまってから今に至るまで寂しい日々が続いている。プロとしてこれからもずっとアンパンマンの声を続けていくという強い想いもあったが、一時はひどく私自身もしょげまして、半分わがままを言わせていただけるなら、先生がいないならやりたくないな、という気持ちになった時もあった。でも、子どもたちはアンパンマンやバイキンマンがでてくると満面の笑みで喜んでくれて、街なかではお子さんが自分の顔より大きなアンパンマンのリュックをしょってくれたり、私たちの事情はまったく関係なく、みんないつまでもアンパンマンを好きでいてくれるんだなと改めて感じた次第。先生は私たちのすぐそばにはいなくなってしまったけど、お空でいつまでも私たちのことを見守っていてくれると思う。これからも子どもたちのために1本でも多くアンパンマンの放送を続けて参りたい」とやなせさんへの想いを語った。

 また、やなせさんとの印象的なエピソードや言葉について聞かれると、「やなせ先生との思い出はつきなく、言葉でいうと『人生は喜ばせごっこ』、そんなことをいつもおっしゃっていた。『一寸先は光』、これが私の座右の銘でもある。私が最後にお会いしたのが昨年4月の神戸アンパンマンこどもミュージアムのオープン記念のテープカット。ご逝去されるわずか半年前で、足もおぼつかないなかで、神戸までお出かけになって、登場するぎりぎりまでは杖をついていらした。しかし出る瞬間になったら『杖をおいていこうか』とおっしゃった。みなさんの前では杖をつかずに、多分かっこいいところを子どもたちにみせたかったのだと思う。先生のアンパンマンショップにも毎月手書きの言葉が張り出されていたが、目が見えづらくなってからは、手書きではなく印刷したものがだされるようになった。そういった、マイナスの様子をしょった時でも、マックス100パーセントのことをされるというのがやなせ先生。どんな状態でも、その状態でできる限りのこと全てを出し尽くす、非常にそれが力強く残っている」と語った。

 日本テレビの担当者は「1988年10月にアンパンマンの放送をスタートさせていただいて、先生が真ん中で支えてくれた『愛と勇気』というコンセプトを、今までは僕らは先生におんぶにだっこというか、必ず先生が背骨として支えてくださった、というのが正直ある。その先生を失って、僕らもちょっと途方にくれている3か月くらいなのだが、立ち止まってはいられない。先生と20年以上共に歩んできたスタッフみんなで前をむいて、1歩1歩地に足つけて今後も重ねていけたらと思う。そしてみなさまの『愛と勇気』にアンパンマンが何かお役に立てれば」と語った。

 映画に関しては、「復興3部作ということで、2012年は復興をテーマにした『それいけ!アンパンマン よみがえれバナナ島』、2013年は希望がテーマの『それいけ!アンパンマン とばせ!希望のハンカチ』、そして2014年は望郷・故郷がテーマ。今年はりんごぼうやがアンパンマンと触れ合うことで故郷への思いに気づくという作品。原案は2013年夏より制作されていた」と映画関係者。

 「来年以降の制作に関しては白紙状態だが、先生だったらこうするんじゃないか、と心の中にいる先生と会話しながら新しい映画をつくっていきたいという気持ちでいる。まずは今年の劇場映画に向けて全力で、今までと変わらず頑張っていきたい」とも。

 また、参列者を代表してアンパンマンから感謝の言葉が述べられた。アンパンマンはやなせさんの写真の前に立つと深くお辞儀をし、「やなせたかし先生へ。おはようございます。僕、アンパンマンです。先生、見えますか?今日はこんなにたくさんの人がきてくれましたよ。先生がお空にいってしまってから毎日とてもさみしいです。でもこれからは、たくさんたくさん残してくれた先生の作品や思い、僕たちが大切にみんなに伝えていきます。先生はたくさんの人を楽しませて、みんなの笑顔を見るのが大好きでしたね。だから、今日は笑顔で先生に伝えたいと思います。やなせ先生、本当にありがとうございました。僕たちをいつまでも見守っていてくださいね」と力強く述べた。

劇場映画最新作は2014年7月公開予定。
やなせさん原作では最後となる。

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