新宿・ビームスジャパン(新宿区新宿3)6階のB ギャラリー(TEL 03-5368-7309)で現在、「植田正治 印籠カメラ写真帖」が開催されている。
同ギャラリー初となる、写真家・植田正治(1913年~2000年)の展覧会。月刊誌「アサヒカメラ」に1995年1月から1997年12月までの3年間にショートエッセーを添えて連載された「印籠カメラ写真帖」から写真21点を抜粋。同時期に撮影され、植田さんの生家に現存する35ミリポジフィルムを植田正治事務所が初めて監修したモダンプリント21点を展示、販売している。
植田さんの前衛的な演出写真は「植田調」として知られる。小学生のころに写真を撮り始め、以後、写真雑誌や展覧会に次々と入選・発表するなど戦前、戦中、戦後にかけて活躍した。国内外で多数の展覧会を開催し、写真集も多く手掛けた。中でも、鳥取砂丘を舞台にした「砂丘シリーズ」がよく知られている。一方で、広告写真やファッション写真、CDジャケット写真など幅広く手がけた。福山雅治さんのCDジャケットを撮影したことでも知られる。
展示のタイトルにもなっている「印籠カメラ」は、晩年持ち歩いていた35ミリのコンパクトカメラに植田さんが名付けたニックネーム。「このカメラが目に入らぬか~!」と言い放ちながら、散歩の合間に撮影を続けていたという。
今回は、その印籠カメラで撮影された最晩年のカラー作品が並ぶ。同ギャラリー担当の藤木洋介さんは「一番新しくて身近に感じられる作品を通じて、20~30歳代の人たちに植田さんの魅力を知ってもらえたら」と話す。鳥取の植田さんの生家にも訪れた藤木さんは、今も残るフクロウの置物や丸みのあるつぼ、曲線的なオブジェなどから、植田さんの温かい人柄を感じたという。
17日15時~16時30分には植田正治事務所の増谷寛さんと写真家・松井洋子さんのトークショーを予定(先着30人)。18日13時~・17時~には「SHOJI UEDA IMAGES」上映会(約45分。先着各20人)も。いずれも事前予約が必要。
開催時間は11時~20時30分(今月26日・27日は20時まで)。12月27日まで。