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新宿「モア4番街」の公道に常設オープンカフェ-全国初の試み

約7年間の社会実験を経て、オープンカフェが常設されることになったモア4番街。本格実施の際には、緊急車両の通行などを考慮し、道路の片側3メートルが空けられるという

約7年間の社会実験を経て、オープンカフェが常設されることになったモア4番街。本格実施の際には、緊急車両の通行などを考慮し、道路の片側3メートルが空けられるという

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 新宿3丁目の「モア4番街」に11月15日から、新宿駅前商店街振興組合が運営するオープンカフェが常設されることになった。

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 「モア4番街」は、JR新宿駅東口にある新宿通りと靖国通りを結ぶ公道。1986(昭和61)年に実施された「新宿区MOA(モア)計画」の一つとして整備された。「道路施工の基盤までを新宿区が行い、石畳を敷く手配は商店街が整備した。民間一体となって行われたまちづくりの先駆けだった」(新宿区みどり土木部・交通対策課の高林幸雄さん)という。

 「モア」とは「Mixture Of Ages(ミクスチャー・オブ・エイジス)」の略称で「世代の交差点」という意味。「新宿駅から、当時歌舞伎町にあったコマ劇場に向かう人や、新しい商業施設へ向かう人など、老若男女が行き交っていた」というが、次第に自動車や自転車の違法駐車が増加。「物陰で違法薬物の売買が行われていたこともあるなど、次第に怖いイメージがついてしまった」。

 その状況を改善するべく、2005年より新宿区と同振興組合はオープンカフェ施策を試験的に開始した。歩道にカフェ2店舗を設け、営業時には車道にテーブルと椅子を設置。原則年中無休で、車両規制で歩行者専用となる時間帯に実施してきたという。

 実施後は、違法駐車や放置自転車が激減。今では各種イベントの会場に使われるなどし、かつてのにぎわいが戻っているという。

 実験という前提で、特例として行われていた同施策。これまで、道路上の購買施設は高速自動車国道などの自動車専用道路にしか設けられなかったが、昨年10月23日、都市再生特別措置法の改正や、それに伴う道路法施行令の改正が行われ、一定の条件を満たすことで一般道路にも常設できるようになり、本格実施が実現したという。

 これまでは実験として行われていたため、店舗を運営している同振興組合に対する道路占用料は発生していなかったが、今後は支払っていくことになる。「カフェを運営して得られた利益が、振興組合の活動や、道路整備、防犯活動に生かされる仕組み。これまでは、公道を利用して特定の団体に利益を与えるのはいかがなものかという考え方だったが、この施策では利益をもたらすことによって、民間の力を取り入れようという『発想の転換』が行われた」と高林さん。「全国初の試みのため、全国からかなりの反響を頂いている」とも。

 店舗自体は12時から営業、オープンカフェの実施時間は15時~19時30分、日曜・祝日は12時~17時(4月~9月は15時~21時30分)。初日の同15日には完成式典を開催する(14時30分~)。

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