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プロダクトデザイナー川上元美さん「デザインの軌跡」展-新宿・OZONEで

川上さんが手掛けた多くの椅子が並ぶ

川上さんが手掛けた多くの椅子が並ぶ

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 新宿パークタワーの「リビングデザインセンターOZONE」(新宿区西新宿3、TEL 03-5322-6500)3階パークタワーホールで9月9日、「MOTOMI KAWAKAMI CHRONICLE 1966-2011 川上元美 デザインの軌跡」展が始まった。

大きな箱が並ぶ展示会場(関連画像)

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 日本を代表するプロダクトデザイナーの川上さんは、1940(昭和15)年兵庫県に生まれる。東京芸術大学大学院を卒業後、渡伊。アンジェロ・マンジャロッティさんに師事し、帰国後は数々の名作となる椅子を発表。背と座をテープで編んだ小椅子の「NT」(1976)や、アメリカのインターナショナルチェアコンペティションで1位になった折り畳み椅子「BLITZ/TUNE」(1981)でトップデザイナーとなる。家具や食器、小物から精密機器のほか、1994年には6年の歳月をかけて羽田空港と横浜ベイブリッジ間を結ぶ高速湾岸線・主要橋梁「鶴見つばさ橋」も手掛ける。一方、東京芸術大学、多摩美術大学、金沢美術工芸大学、神戸芸術工科大学などで客員教授も歴任。同展では、川上さんの作品約800点の中から各時代の代表作を選び、45年間のデザイン活動の軌跡を紹介する。

 会場デザインは、トラフ建築設計事務所(品川区)が担当した。エントランスには「円意」と名付けられた円形の入場口を用意し、さまざまな形の椅子が取り囲む中を会場へ誘導。そこには大小さまざまな大きさの四角い箱で会場を区切り、点在する箱の間が路地のような空間を生み出している。同事務所の担当者は「来場者が探索しながら作品と巡り合う体験は、川上さんのデザイン活動を一緒にたどっていく感覚を与える。作品全てを一望できる俯瞰(ふかん)的な視点よりも、作品とじっくり向き合える展示空間を目指した」とデザイン意図を話す。

 「われわれは共に生きる万物の一部であるという謙虚な気持ちを持ち、人とものと自然環境、あるいは、社会環境などとの関係性を明白にしながら、性能や質の向上のみならず、美の規範、道具文化の根幹に関わる知恵を尽くした本格的なデザインを、そして機能を尊守し審美的でありかつ持続可能な社会に向けたデザインを追い求めていかなければならない」とコメントする川上さん。「これからの若者はどのような試練と立ち向かうことになるのか、われわれが指針を提示していくことも大切なことであると思う」とも。

 10日・18日・23日(いずれも14時~15時)、川上さんとゲストを招いたトークショーも予定する。参加無料。定員は各日先着40人。詳細や参加申し込みはホームページで確認できる。

 昨年古希を迎えながらも、ますます磨きがかかる川上さん。「これまでもさまざまなジャンルでデザインしてきたが、まだまだやりたいことはたくさんある。これからも抜けているジャンルを埋めるように、意欲的にデザインに挑戦していきたい」と語る。

 開場時間は10時30分~19時。水曜定休。入場無料。今月25日まで。

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